限定解除 その2

府中試験場は、鮫洲試験場の混雑緩和のため、また多摩地区都民の利便性のために開設された試験場だった。前を通る「東八道路」も真新しかった。この道路、当時は幹線道路とあまりよく繋がっておらず(現在も中途半端な道路であるが)日中の交通量も少なく、CB400FourⅡで軽快に走って試験場に通えた。工科系の専門学校に通学しながらの限定解除作戦行動だったので毎日は通えなかったが、それでも週に2~3回くらいは通っていた。早く取りたかったためである。
午前中に実技試験の事務手続きを済ませば、昼食を試験場の食堂で済ませ、後は館内で缶コーヒーを飲んで午後の試験を待ち、時間が来たら内周コースの控室に向かい、試験官が来るのを待つと言う次第であった。
内周コース控室前のコースにドンと鎮座ましましていたのが、事前審査用のスズキGT750であった。このGT750、スズキがホンダCB750Fourに対抗するため造り、北米が主要輸出先だったのか、かなり大きな車体であり、水冷3気筒エンジンも堂々としたものであった。また車両前後に大幅なバンパーが装着されており、これは今で言うエンジンガードなるコンパクトなものどころではない代物であった。
試験官はだいだいいつも2~3人で来た。白いジェットヘルメット、青い制服と白バイ隊員あがりの試験官で有る。内周コース控室で、実技試験の注意事項を説明されると、限定解除初回受験者は事前審査となる。自分の名前が呼ばれるとヘルメットのあご紐をぐっと締めて、GT750に向かった。センタースタンドがけも転倒車起こしも力よりコツであるのは分かっているが、この事前審査用GT750はフューエルタンクに砂を入れて重量を調整していると言ううわさがあり、重たいったらなんのコツも必要ではあるが、力もそれなりに入れないと起こせない。でも何とかスタンドがけと転倒車起こしはクリアーし、次は8の字取り回しである。とにかく大きいGT750である。気合いを入れて慎重に引き回したが、前輪が端の白ラインをオーバーしてしまった。切り返しが甘かったか、やばい!と思った瞬間、試験官に「はい試験中止、もとに戻って」と言われてしまった。あえなく事前審査で沈没。試験官に白ラインオーバー(脱輪と見なされる)を指摘され、この日はこれでおしまいだった。
でもせっかく来たのだからと試験官に見学を申し入れ、他の受験者の試験の様子を見学したのだった。

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