限定解除 その5

府中試験場の内周コースにおいての停滞と言うか沈没は、事前審査を含めればもう10回以上となり、外周コースに出られないまま、チャレンジ開始からすでに2ヶ月目に入っていた。受験者仲間も次々に合格して1人去り、2去り、3人去りとなって来て、今度は新顔の受験者が来ると言う次第だった。
12~13回目くらいだったろうか(正しい回数は失念)その日はいつものN試験官やW試験官と違い、中堅層の若い試験官だった。内周コース控室前にはカワサキ750RSの試験車が停めてあった。試験官はCB750FourⅡに乗車して来ていた。受験者達の間に、今日の試験車はゼッツーだぁ~!と一瞬どよめきが起こった。それほど全員がスズキGT750にへきへきしていたのだ。
自分の番になりヘルメットのあご紐をぐっと締め、750RSの試験車に向かった。その当時の一番人気のナナハンである。試験なのに750RS(Z2A)ゼッツーに乗れるのが嬉しかったのだ。乗車してみると車体がGT750よりはるかにコンパクト&スリムであり足着きも良い。エンジンもDOHCであるもののホンダと同じ4ストロークエンジンである。エンジンをかけると4本マフラーから聞きなれている4ストの排気音が小気味よく聞こえてくる。ハンドルの高さ、幅、乗車位置、姿勢も自分に調度いい感じがした。ミラー位置調整、ライト類点検等をさっと済ませ、合図及び後方確認後発進した。初めて乗車する750RSに興奮気味だったが、走行して感じたのは、何て軽やかで素直な走りをするナナハンだなぁ・・・だった。
この750RSでスラローム走行もリズミカルにこなし、一本橋走行、波状路走行を無事に済ませ、内周コースを半周し、一時停止、左右後方の安全確認を済ませ、外周コースに突入した。後方の追尾車からはスピーカーでコースの指示命令があるものの、中止命令は出ていない。やった~、外周コースに出ればこっちのものだぜ~!と内心思うも初めての外周コースである。ぐっと逸る心を抑え、慎重に外周コースを進んだ。
外周コースは一般走行である。公道を模しているコースであり、そのなかに坂道発進や短制動などの課題走行が入っている。また普通自動車や大型自動車が仮免試験を受けているコースでもある。他の試験中の自動車との車間距離や、交差点での優先権、他の試験車との安全確認、合図などすべて道交法順守で走行しなくてはならない。また試験のため、実際の公道走行以上の安全確認の動作を要求されるのである。ブレーキは基本ポンピングブレーキである。外周コースの最高速は法定速度である。外周コースを回ると、コース上に大型車両がドンと駐車しており、駐車車両の追い抜き動作を見られた。坂道発進、短距離制動と課題が続くが、何と言っても難関の短制動はギヤは3速以上(?だったかも失念)、速度50km/h以上、停止距離10m(12m?だったかも失念)だった。停止時のギヤ位置そのままとエンストはOKなるも、パイロン2本の狭い間隔目掛け一直線に指定速度になるまで加速するのである。短制動と言っても急ブレーキによるロックは禁止、急ブレーキで転倒する受験者もいるのだ。
750RSは、旋回性能も良く、2ストロークエンジンと違い、エンジンブレーキも使え、とても扱い易いナナハンで自分としては排気量は違うがCB400FourⅡに乗っているような感覚に陥るほどだった。自身のバイク運転技術より、750RSの性能に助けられたのかも知れない。外周コースの難関、短制動は何とか成功した。
追尾車のコース指示に従い、外周コースを法定速度で回り、内周コース控室前に戻った。これでナナハン免許をやったぜ~!と内心気位をはったが、試験官からは不合格と言われてしまった。
試験官からもっと左右の安全確認をするようにと指摘された。左右の安全確認の動作が足りなかったのかも知れないと感じた。あまり慎重に左右後方の安全確認にこだわると返って前方不注意になってしまうと独断してしまったが、追尾して来る試験官へのアピールのため大きな首振り動作は仕方がない。これは「試験」のための走行なのだと割り切って行くしかないと反省したのである。

不合格でも750RS(Z2A)ゼッツーに乗れたことが何より嬉しかったあの頃の自分であった。

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