整備編 フューエルタンク脱着 その1

今月4月で、V-Strom650と相棒を組んでから2年目となった。無事故無違反でバイクライフを送れられたのは、ひとえにV-Strom650の良好な走行性能のおかげだと言える。自分の運転技術ではない。相棒に助けられているのだ。
そんななか購入した当初、ナビやETC、ドライブレコーダーを設置した際、電源(主にヒューズボックス)からハンドル廻りまで配線を敷くときの経路として、フューエルタンク下にしたのだが、その際タンクを全部脱着した訳ではなく、タンク後部を浮かせた状態においての作業だった。つまりタンク下の配線はクランプなどで固定している訳でないのである。2年が経過した今、この際フューエルタンクを外して配線を固定し、尚且つエアフィールターの状態を点検しようと思い立った。
さて、V-Strom650は、フロント部や両サイドがカウルで覆われており、フューエルタンクの真下にエアクリーナーボックスが有ると言う整備性を考えさせられるバイクである。整備性のことをスペアラビリティーと言うが、ホントここだけが悩みの種でもある。 

今回はフューエルタンクの脱着作業をレポートしてみる。自動車や自動二輪車の整備実務経験者、整備士有資格者にはまどろっこしい内容であることはご容赦頂きたい。ちなみに自分は、自動車整備士の資格を持ち、若い頃整備場で実務を14年ほど経験している。但し自分は乗用車(四輪車)が専門であったことをご承知願いたい。

フューエルタンクの脱着は40年前のバイクにおいては簡単な作業であった。タンクのコックを閉にし、キャブレーターへ続くホースを外し、タンク後部のゴム押さえを外し、タンクを抱え、後ろに引きながら上げていけば簡単に外せた。
しかし、世の変遷でバイクもフューエル・インジェクションの時代である。このV-Strom650も世の流れに沿ってインジェクションである。スズキ車の場合このフューエル・インジェクション式にした際、ガソリン経路のパイプとホースの接続部分に、耐油樹脂製のコネクターを設置しておりこのコネクター外しにコツが必要な部品を使用しているため、ただでさえタンクの脱着に時間がかるのにそれに輪をかけると言うことになっているのである。

V-Strom650にはセンタースタンドが付いていないので、市販のスタンドで真っ直ぐに立てておいた方が、作業し易いのは当然ではあるが、スタンドが無ければ、普段のサイドスタンドだけでも作業は出来る。
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フューエルタンクを外す際にまず最初に注意することはガソリンの残量である。 一番良い方法は走って消費して極力少なくすることである。自分は作業性のためと軽くするために抜いたが、もし抜くのであれば消防法や東京都火災予防条例30条などを準用して、少量、短時間の保管で有っても、火災予防のためスチール製の携行缶(消防法適合品)を使用するべきであろう。カー用品販売店で見た来たところ、10ℓ 携行缶で4000円くらい、20ℓ 携行缶で5000円くらいで販売している。
勿論、念のため消火器は必ず置く。
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ガソリンは引火性が高い危険物なので、タンクを外す作業の前に、万が一のためバッテリーの端子は+-とも外しておき、配線の端はショートしないようにウエス等で巻いておいて、とにかくショートは絶対にさせないこと。これは火災予防のためでもある。勿論、作業中は火気厳禁である。

今回は配線もいじるためバッテリー端子を外したが、後述するようにラジエーター・リザーブタンクにLLCを補充するなど、タンクの後部一部浮かしだけの作業の時は、特にバッテリー端子を外すことは必要ではない。
さらに後述する(何回も「後述」と言う言葉を使用して恐縮)フューエルポンプ配線カプラーを取り外した際に、エンジンを始動し、燃料切れで停止するまでかけ続け、燃料ポンプ内やパイプ、ホース内の燃圧を下げる作業があるのだが、この時は再度バッテリー端子を繋げなくてはならない。ただしこの作業は必須作業では無いので、今回は火災予防のためこの作業は省略した。

最初からタンク脱着ありきで、作業場所の換気も良ければバッテリーの端子を外さずに、タンク後部を浮かした後、燃料ポンプ配線のカプラーだけを外し、その後にエンジンを始動して、エンジンが燃料切れで停止になるのを待ち、次にエンジンやマフラーが冷えてから、燃料系のホースを外す作業に入ると言うこともある。この際はエンジンを始動する以上、換気には充分注意すること。繰り返すが、エンジン始動による燃圧下げ作業は必須作業では無く省略してもかまわない。如何せん、自分は作業時の火災発生を怖れるため、防火にうるさいことは許されたし。

タンクの左右サイドカバーは赤矢印のボルトを六角レンチ(4ミリ)で外し、さらにサイドカバーを外すと、青矢印の箇所に1つボルトがあり、ここも六角レンチ(4ミリ)で外す。
サイドカバーは、タンク横面中央のガイドと、カバー下のL字形の突起で半固定されているので、黄色矢印の方向、つまり後部に引きながら、やや上げるようにぐりぐりと小刻みに移動していけば外れる。
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なかなか外れないからと力任せに引っ張ると、青矢印のカバー下のL字の突起が折損する可能性があるのでご注意を。尚、サイドカバーのSオーナメントの下に張ってある黒い緩衝材は、立ちごけした時の傷防止のために自分が張ったもの。
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ガソリンタンク前部上部のトリムカバーの脱作業は、左右のトリムクリップと左右のボルトを外す。
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左右サイドカバーを外すと、フューエルタンクの全体像が見えてくる。
サイドカバー装着の際は、外す時と反対に前部に押し込むような作業となるが、黄色矢印のステーに、サイドカバー裏の四角いガイド枠に入れ、と同時にサイドカバーのL字突起を青矢印のセンタートリムの四角穴に差し込むようにして押し込んでいく。
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フューエルタンク前部、黄色矢印のボルトと赤矢印のボルトステーを外す。六角レンチは5ミリ。先に前部固定ボルトを外しても、タンク前部左右下にタンク押さえのステー&ラバーが、タンク左右のガイドに入っているので不安定になることはない。
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固定ボルトとステーを外した状態。左右ボルトはラバーマウントされている。
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フューエルタンク後端部の押さえプレートを外す。ボルトは12ミリ。
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プレートを外した状態。
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押さえのプレートとそのラバーマウント。
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タンク後端部を、配線や他の部品などがひかかっていないかを確かめてから、そっとゆっくり持ち上げ、先程外したプレートをタンクとリザーブタンクを囲っているプレートの間に縦にかまして、作業する空間を確保する。
持ち上げたタンク後部の下面には、青矢印右から左順に、フューエルポンプ用配線&カプラー、フューエルフィードホース(燃料供給ホース)、フューエルタンクブリーザーホース(燃料タンク内通気ホース)、フューエルタンクウォータードレンホース(燃料タンク内排水ホース)、の4本が見えてくる。
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ところで、タンクを浮かせたのでラジエーターリザーブタンクを点検。タンクを浮かさないと補水できないと言うこのスペアラビリティー(整備性)の低さにはまいった。
冷却水がローレベルで、アッパーレベルまで入れるくらいの少量ならば、これから夏季に向かうので水道水で補充してもOK。ほとんどカラカラ状態だったり、冬季だったらLLC水溶液を作って補充した方が良い。ただし今はカー用品店でLLC 50%の希釈液パックを400円~600円で販売してるので、これを買って入れた方が早い。
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フューエルタンクの脱着作業は、サンデー・メカニックの方でも中級程度の整備に慣れた人向きです。整備経験の少ない方、また、まったくの初心者の方は、作業されないことをお勧めします。フューエルタンクの後部浮かし(半脱着)までにしてください。
2017/7 追記


補足
フューエルタンクの脱着作業においては、当然だがガソリンと言う危険物が付いてまわる。ガソリンと言う液体可燃物(第四類引火性液体・第一石油類)が、大気中においては蒸発しやすく、その燃焼形態が蒸発燃焼であること。引火点が-40℃であること。その引火、発火、着火の意味が分かっていること。フューエルタンク脱作業の時、静電気で引火してクルマが全焼した事例があること。最近のバイクは電子化が進み、電気配線がいたるところを巡っており、ちょっとした作業ミスで、ショートなどさせてしまうと、最悪火災発生と言うことがあり得ることをご認識頂きたい。また当然、整備を自分で行うならすべては自己責任になると言うことである。

補足2
自分で整備するなら、メーカーのサービスマニュアル(修理書)を購入して作業するのがベストである。

補足3
2017/7 現在、弱小に過ぎない自分のブログの、またその中の一記事に過ぎない「フューエル・タンク脱着・その1」が、2017/7の段階で、まさかカウント数約1500に至らんとすることに感謝と御礼を述べるものであります。と同時に、多少の驚愕を感じるものでもあります。
「その2」はカウント数約500位であることから推察しますに、フューエル・タンク後部浮かし(半脱着)作業によるラジエーター・リザーブタンクへの補水作業を、ご自分で作業したいと言う方々のインターネット検索がメインであろうと推測します。 フューエル・タンク後部浮かし(半脱着)作業については、危険な作業であるガソリン経路を切り離す作業などは特に無く、サンデー・メカニックの方々でも、整備用工具などをお持ちで有れば作業可能と思われます。

しかしながら、「その2」、フューエル・タンクの完全脱着作業になりますと、ブログにも記述しましたように、ガソリン経路の切り離し作業があります。ガソリン経路切り離し、つまり、フューエルホースコネクター外しは、本来、専用の特殊工具を必要とする作業でもありますし、例えば、プライヤー、ロングノーズプライヤー等を使用して、なかなか外れないからと無理にこじって、パイプなどを傷つけてしまいますと危険ですし、また樹脂制コネクターを破損してしまう可能性もあります。また単に指先で押さえ付けるのも持続力を要します。 また、ブログにもしつこいほど記述いたしましたが、コネクター外し作業で、ガソリンをこぼしてしまいますと、最悪火災を発生させてしまうかも知れず、大変危険です。
ですので、サンデー・メカニックの方で経験の少ない方、よしんば未経験の方は、フューエル・タンクの脱着作業はしない方がよいと思われます。バイク販売店 (勿論、「分解整備事業」として陸運事務所に認証された整備工場や、民間車検場の資格を持つ整備工場を持つところがベター。)などのプロに依頼した方が良いでしょう。
いづれにせよ、しつこい様ですが、整備をご自分で行うとすれば、すべては自己責任と言うことになります。


その2 に続く。

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この記事へのコメント

SevenFifty
2018年10月04日 11:14
こんにちは。
SevenFiftyです。

カウルやタンクを覆うカバーがある車種のタンク脱着は工程数が多いですね。
わたしのはシートを外して、タンクを上下に串刺しするボルト1個を外せばOKです。
ただフェールコックが左右独立タイプなので、フェールホースを2か所外す必要があります。
下記のURLがわたしのバイクです。
https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/55/f133bb3b9be0b84eba5347b1181091a8.jpg
一般的にはW3と呼ばれています。
2018年10月05日 06:32
SevenFiftyさん、コメント有難うございます。

昭和50年前後のバイクは、ほとんど燃料系統は自然落下式のキャブレーター式でした。ご指摘の通り燃料タンクの脱着は簡単でした。

650RS(W3)にお乗りなんですね。(^^)
W系、カワサキと言うかメグロの伝統を引き継ぐ名車中の名車です。自分など畏敬の念さえ感じてしまいます。
あの頃は、750RS(Z2系)が人気車種で持てはやされましたし自分もそうでした。速さのZ系と違うW系は重厚な味と言うか、正統派ライダーのバイクでした。(^^)v

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